今回は、模擬試験の性質について説明いたします。
『結論』として、模擬試験というのは、実は、サッカー選手の実力を野球で計っているようなものなのです。
どういうことかというのを、具体例によって解説したいと思います。
大学受験の模擬試験の中で一番受験者数が多いのが、河合塾主催の「全統マーク模擬試験」です。
大体1回の試験を約35万人が受験します。センター試験の英語の受験者数が約50万人ですので、受験生の約5分の3が受験するというかなり母体としては大きなものです。
代ゼミの模試が15万人〜20万人であることからも、かなりの人数がこの全統マーク模試を受けていることが分かります。
だからこそ、多くの受験生やその親御さんは、そこで出てくる志望校の判定(A〜E)に一喜一憂するのです。
A評価=合格可能性80%以上
が出ないと不安だの、志望校がE評価だったからもうダメだのなんだの・・・・・・。
毎年言うのですが、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!
そもそも、その「合格可能性」って何なのですか?
しかも、それが80%以上とか20%以下ってどうやって計るんですか?
おかしいと思いませんか?
それとも、「天下の河合塾様がそう仰っているからそうに違いない!」ですか?
それって、「ニュースでいっているんだからそうに違いない!」「だってお母さんが言ってたもん!」「先生がそういってたよ!?」
という小学生の戯言と同じレベルじゃないでしょうか・・・・・・。
根拠は何? そのパーセンテージの根拠は・・・・・・。
注目していただきたのは、このマーク模試は、あくまで「センター試験の模試」であるということです。
センター試験は、一般的に「国公立大学受験の第一次試験」と考えるべきテストです。
それは、4択〜6択ぐらいの選択肢から正答を選ぶテストなのです。
ちなみに、国立大学の2次試験は基本的に「記述試験」です。また、いわゆる偏差値の高い大学であればあるほど、センター試験の重要度は下がります。
例えば、東大の入試ではセンター試験の点数を110点に圧縮し、2次試験の440点と合算して合計550点で合否を決めます。
つまり、センター試験と2次試験(筆記試験)の重要度の差はなんと4倍なんです。(=足きりでの利用のみと考えて差し支えありません)
もちろん、多くの私立大学は「センター試験とは形式が全く違う試験」を採用しています。
有名私立大学では、「択一試験」と「記述試験」が混ざった形式を採用しているのです。
確かに、「センター試験利用」型の私立大学入試ならばこのマーク模試の結果を参考にすることは理屈として合っています。
しかし、それ以外は・・・・・・大きく疑問です。
にもかかわらず、にもかかわらず・・・・・です!
合格可能性を出せるってどういうことなんでしょう?
国公立大学はもちろんのこと、私立大学も、それぞれが自分たちが求める大学生像を絞り、それに応じた入学試験を作成しています。
つまり、各々の大学入試には個性があります。形式が違います。
例えるならば、同じ球技でも、サッカーもあれば野球もあり、バスケもバレーも卓球もテニスもそれぞれ求められる能力が違うのと同じです。
では、サッカーが上手な人は、野球が上手でしょうか? 卓球のプロは、テニスの大会で優勝できるでしょうか?
昔、マイケルジョーダンというバスケットボールプレーヤーがいました。
彼は、バスケ界の中では「神様」と呼ばれていました。そして一時期バスケットボールプレーヤーを引退し、子どもの頃の夢であった大リーガーを目指しました。
結果、打率2割程度で、大リーガーとしては活躍できませんでした。それでも基礎的な運動能力が高いこともあり、普通の人よりはできたんだと思います。
でも、やはりバスケでは神様でもプロ野球選手としては普通以下でした。
大学入試の模擬試験で、合格可能性を出すのも同じようなものです。
特に、慶大プレなどで慶應大学の合格可能性をだすとか、東大模試で東大の合格可能性をだすならばまだ分かりますが、マーク模試の結果で各大学の合格可能性を出すのは「暴挙」以外の何者でもなく、
その結果で一喜一憂するのはあまりにも馬鹿げたことだというのが分かりますでしょうか?
じゃあ、模擬試験って何のために受けるの?ってことですが、それは、一言、
「自分が分かっていないところを本番の"雰囲気"に近い中で、確認するため」
です。
決して、偏差値や合格可能性に一喜一憂することではありません。
つまり、模擬試験は、「解き直し」をすることが目的であったり、自分が分かっていないところをもう一度勉強するために必要なのであり、また、結果の善し悪しはどうでもいいのです。
もっと正確に言えば、「良い点だった模擬試験ほど、受けた意味がない」と言えます。
なぜなら、たまたま自分が良く分かっているところが出てきたのであり、それは本番もそうなるとは限らないので、やり直しや解き直しによって自分の分からないところ分かるようにすることができないからです。
逆に、模擬試験で良い成績だったら、なぜか「自分はできる」と勘違いをしてしまうため、デメリットの方が多いんですよね。
結論として、模擬試験の成績は悪い方が良い。ただし、そこで落ち込んだり諦めたりするのではなく、自分のできなかったところを率直に、真摯に反省して、やり直しや解き直しを行い、それ以降の自分の勉強に活かしていくというのが、模擬試験の活用法だと言うことです。
だから、模擬試験の成績を自慢する人には、いってあげましょう。
「はいはい。良かったね。すごいね。天才だね」って。
で、自分がやるべきことを見失わずに、目標を高く、長期的に、自分の目的に応じた学習をしっかりとしていきましょう。
ちなみに、私が今まで教えてきた生徒の殆どが、ずーっと模擬試験ではE判定(最後の最後ぐらいまで)で、過去問をやる段階(試験の1〜2ヶ月前)になって合格点をガンガン取れるようになるという状況でした。そういう経験則も今回のコラムの元になっていることを明記しておきます。


